商品開発や新規事業の要諦はこれだ!

プロセスと結果

【2014年6月記載】

新しい価値や新しい事業の創出はとても難しい。昨年より取り組み始めたかけっこの計測システムは、発想としてはとても面白いのだけれど、十分な技術検討をする前に運動会で実証実験をすることになったため、その試作機はとても大掛かりな装置となり設置が煩雑で取り扱いにくいものになってしまった。システムそのものは先生や生徒にとても好評であったので、これを簡略化し低コストにすればいい商品になるし、そうすればすべての小学校、中学校に採用されると確信している。

しかし一部の経営者層は、その市場が小さいと想定し、このかけっこ計測に対してはとてもネガティブであり、完全なる抵抗勢力となっている。(社長は積極的に推進してくれてはいるけれど..) 今までストップウォッチで済んでいるものが、なぜ自動計測にしたらよいのか。その効果のほど、新しい価値に魅力を感じられないのだ。そういう感覚も分かるけれど、子どもたちが喜んでいる姿を見たら、何かがそこにあるのではないかと感じられるのだけれど。

世の中のモノや機器は、プロセスをサポートしたり、改善したり、面白くするものと、結果のみを表示するものに大別される。体重計や血圧計は体の状態を表示し、教えてくれる。テレビはスポーツ、ニュースや娯楽番組を映し出してくれる。オーディオ機器は好きな音楽や楽しいリズムを流してくれる。冷蔵庫は食品を長期間保存してくれる。複写機は書類をいくらでもコピーしてくれる。これらすべての機器が、何らかの“結果”を私たちにもたらしてくれている。しかしそれだけである。

自動車は、目的地まで私たちを運んでくれる。それだけでなく途中のドライブを楽しむことができるし、経路だっていろいろ選べて楽しい。オーブン電子レンジは食品を加熱調理してくれる。好きなメニューを選んで、レンジを使ったレシピを考えることができる。また、美味しくできたかそうでないかは食べたら分かる。自動車もオーブン電子レンジもそこそこの値段がする。このように、結果だけでなく、そのプロセスも提供できる商品は、その価値が高くなる。そのプロセスに工夫や知恵を入れるもしくはユーザーにその介入の余地を与えることにより、商品の魅力度は上がってくる。

単純に結果のみを表示するだけでは商品価値は限定される。使う人に付加価値を取り込む余地がない。ともすればコモディティ化されかねない。健康に気をつけて食事量や運動量をどのようにコントロールしたのか、その取り組み内容を分りやすく見える化した上で、血圧がどうなったかを知ることができれば、つまりプロセスと結果を結びつけることができれば、私たちはうれしい。商品としての価値は上がる。

一方で、炊飯器は炊飯というプロセスをコントロールすることはできる。けれどその結果として、美味しいご飯が炊けたということに対する評価は少し曖昧になる。どれくらい美味しく炊けたかもっと精度を上げることができれば、炊飯器の価値は高くなるかもしれない。プロセスをコントロールすることができて、結果も精度よく表すことができれば、商品としての価値は高くなる。

かけっこ計測システムが、単なる走力の結果表示機で終わるのなら、その価値は限定的になる。それこそストップウォッチ並みの価値である。しかし、計測精度が高いため、走力向上に努力した度合いによって結果が変わるとなれば、これはプロセスと結果が結びつくことになり、ユーザーにとっての魅力度は格段にアップするはずである。ひとつの測定器を提供するのではなく、プロセスと結びついた所謂ソリューションとしてのシステム提供となれば、商品価値は上がるし、事業としても発展性があるといえる。走力の運動機能を向上させるような指導を受けて、練習を積み、走法を改善していくことで、その結果がつぶさに精度よく計測できるのであれば、とてもうれしいし、楽しい。100m走やハードルなどの陸上競技はもちろんのこと、サッカーのドリブル、野球のベースランニングなどにも応用は可能だ。データも集まれば、さらにソリューションとしての魅力度はアップする。やはりかけっこは継続して開発、事業化をめざすべきだ。