宝さがしはおあづけ...

貝取りジョレン その2

【2004年8月記載】

掘っても、掘っても、砂の中からは何も出てこなかった。実家からまっすぐ北に向かって、1kmあまり。小さな川が日本海に流れ込むあたりの浜辺で、膝まで浸かって一所懸命に砂を掘り返したのだが、何の手応えも感じなかった。例の貝取りジョレンの威力は全く出てこない。当のアサリがいない。いくら掘り返しても、出てきそうな気配が全くしない。せっかく手に入れた魔法の道具が、何の効力も発揮しない。焦った。が、しかし、ストレスはそれほど感じなかった。貝取りのついでにと思って、用意していた釣り道具がすでに成果を出していたから。

ひとりではかわいそうだと思ったのだろう。早朝にもかかわらず、娘が一緒に来てくれていた。そのお陰で、久しぶりにする投げ釣りが考えていた以上に楽しくできたので、その時点でもうほとんど満足していた。

直感的に、ここを掘っても貝はいないな、と思った。この程度の深さに生き物はいない。潮が引いていないのは、すぐに分かった。もっと深く、腰の辺りまで入って、貝を探せばいるかも知れない。この程度の深さは、干潮時にはおそらく水が干上がって陸地になっているはずだから、おそらく貝も住んではいないだろう。しかし口惜しいけれど、水着は持ち合わせていないし、服まで浸かって貝を探す気にはなれない。意外とあっさり、アサリを諦めてしまった。「貝取りはもういいや」と。

貝取りジョレンは手に入れたけれど、それで全てがうまくいくと考えること自体が甘かった。潮の満ち干きはどうか、貝のいる場所の見極めができていなかった。過去の経験から、いる場所は近くの海水浴場の水深1~1.2mあたりだとは知っていたが、そこに行く機会がなかった。子どもたちも大きくなって、海水浴に連れて行って欲しいとは言わなくなったし、行こうと言っても拒否されるようになった。またそうまでしなくても、貝なんてどこの浜辺にもいるといった思い込みがあった。

一方で、貝取りジョレンは不発に終わったけれど、その日の食卓にはシロキスが上って、みんなから好評を博し、ある種の達成感を得ることができた。貝取りジョレンでの挑戦はまた来年の夏にお預けだ。