組織って、上ばかり見て仕事をする人が評価されるんだよね...

不満

【1999年6月記載】

 最近は自分の感じたことや考えたことをまとめる機会が全く無くなってしまった。仕事が忙し過ぎるのである。少しよくなりかけていたサルコイドーシスもおもわしくない。また出血がしだした。とにかく毎日が雑務といっていいほどの仕事で追いまくられるばかりで、何一つ前向きな、建設的なもしくは少しでも商品開発に頭を悩ませるようなことは無くなってきた。他の研究室の室長さんを見ても、みな私と同じような悩みを抱いているし、研究室内のテーマ推進リーダたちもそうだ。あまりにもやることが多くて、しかも報告等の直接商品開発にまつわる仕事でない作業が多すぎる。組合の意識調査でも、この忙殺感は所内に蔓延しているのは明らかである。原因は何か。一言で言ってしまえば、トップ(研究所長)の力が不足していることに尽きる。どう見ても元研究所長であった副社長の意向に従わざるを得ない状況で、自らの意志が研究所運営に出ていない。昨日言ったことと、今日言ったことが明らかに矛盾していることが多々ある。企画部門も所長のスタッフと言うよりは副社長のスタッフという面が強く、所長とのコミュニケーションも不足しているようだ。所長としては、新しく自分のカラーを打ち出したいのだろうが、そういう思いが返って、表面的な施策を次から次へと生み出すだけで、一つひとつに対する考えがその場的で、トータル的な運営に関する考えが希薄となり、一体何をしたいのかボケてしまう。アドバルーンだけはかっこ良く上がるけど、何一つきちっとした成果に結びついていない。

「新しい開発テーマの起案は、研究室長の第一の役割であり、その成否をもって室長の評価をする」

と言っておきながら、Agility活動と称して、主幹技師を中心に研究室を横断的に括るグループをいくつも組ませ、テーマ起案活動を推進させてしまう。グループのメンバーを各研究室から出させて、あたかも研究室内でのテーマ起案活動を阻害するかのように。

 開発テーマの決定においては、各研究室から起案されるテーマの内容を良く吟味することなく、所長のジャストアイデアを一方的に各研究室に押し付けてしまう。それも開発人員に関係なく、テーマの数だけは大量に。

 “R&D推進では、開発目標、日程のはっきりした開発テーマについてのみ、TSC(theme steering committee)の場にて所長ヒアリングを行い、チェックする”というテーマ推進の基本的な部分が、いつの間にかウヤムヤになって、目標のはっきりしていないものから、アンダーテーブル的に推進しているものまで、何もかもチェックを入れようとしている。200人もいる研究所で、開発テーマの数をやたらと増やしておきながら、そのすべてにチェックを入れようとしているのだから、無茶である。もう無茶苦茶、テーマの中味が分かるわけがない。判断もつくわけがない。企画は企画で、メンバーを1.5倍に増やしたのだけれど、誰一人テーマの中昧を知ろうとしない。トップの指示で資料を作るだけ。資料を作るために少しでも開発の内容を知ろうとすれぱ良いのに、それすらしない。資料作りのための資料を各研究室に依頼するのみで、いつまで経っても上っ面しか分からない。こんなんでほんとうの企画なんて出来るはずもない。人が増えた分だけ現場の仕事が増えた。

 先日、突然召集がかかった。いつものことではあるが、社長報告会の事前検討会議である。副社長や所長の事前勉強のために、大阪や奈良の責任者が全員集まって、持参した資料や展示物を元に、今の開発状況を説明する。全員がこの会議の主旨も良く呑み込めない状態で、議事は進みはじめた、すると急に、副社長や所長が怒り出した。副社長の手前もあってか、特に所長はたいそう激しい口調で私たちを責め出した。原因は、明らかにスタッフと所長との事前の協議不足から来る準備の不手際であった。所長としては、その怒りの矛先を直接企画部長に向けることができず、室長へとぶつけてくる。たまったものではない。

 何もかも室長の責任。それだけ室長は重要な位置付けであるから、当然のことだという訳であろう。しかし、責任や義務だけ要求して、日々の行動から書類の一つひとつにまでチェックを入れるなど、全く室長に任しきれないようにして、一切の権利を与えないようでは、そのうち組織は成立しなくなるに違いない。

 大きな組織であるだけに、仕事の流れを明確にして、役割分粗もきっちりして行かなくてはならないのに、研究所トップをはじめ、スタッフたちはみな上の意向を気にするのみで、目先の失敗を恐れるばかりで、みんなが萎縮しきっている。もっと溌剌としなくてはいけないのに。