生活シーンにBGMが入ると、とても楽しいね
ラジオ
【2025年5月記載】
終活として少しずつ身のまわりの整理をしている。その中で、子どもたちが独立して家を出て行ってしまったこともあり、使わなくなったオーディオ(ミニコンポ、CDプレーヤー、ポータブルオーディオなど)がたくさん出てきた。私の部屋だけでもCDプレーヤー、ラジカセが3台あって置き場所に困っていた。ミニコンポもあるし、今ではスマホの方が使い勝手が良いのだから。
そんな時、妻が私の部屋に置いてあるラジカセを使わせて欲しいと言ってきた。このラジカセ、もう30年以上も前に、会社が子どもの小学校入学祝いにくれたもので(当時はそういう類の従業員への福祉が充実していたということではあるが…)、機能としてはカセットテープレコーダーとラジオしか使えず、カセットテープは過去のものとなり今となってはラジオを聴くだけのものであり、ほとんど捨てようかと思っていたので、とても意外だった。
どうするのかと思っていると、台所のシステムキッチンの右端にポンと置いて、ラジオでFM放送を聴くという。いくら何でもシステムキッチンの上は調理器具や食器でいつも溢れんばかりの混みあった状況で、ここでは使い勝手が悪すぎる。このラジカセ、CD機能がない分、スリムなので窓の枠に乗せられそうだ。早速、窓の枠に合わせた簡単な置台を作って、ラジカセを置いてみた。するとどうだろう、何の違和感もない。調理作業への差し障りもなさそうだ。
実際に使ってみると、とても快適だ。妻ももちろんそうだけれど、私も台所仕事にいろどりが加味され、ずいぶんと楽しくなった。TVやスマホだと画面に目が奪われてしまい、行動に制限が生じてしまうが、ラジオだと作業に支障をきたすことはほとんどない。目も心もその作業に集中できる。耳はサブ的存在であるから、多少聴き逃しても構わない。ラジオから流れてくる音楽やナレーションはBGMなのだから…。
何だか学生時代に戻った感じが無くはない。あの頃はTVなんて一切見なかった(TVは持っていなかった)し、音楽だけでなく情報もラジオから得ていたじゃないか。それで十分豊かな気分になれていた。情報って、眼から入るものより耳から入るものの方が心に沁みる、心の奥に入り込むのだろうか。
台所の作業環境がとても良くなった。多少ノイズが乗っているけれど、ラジオから流れてくる音楽によって、作業にリズムやテンポが生まれ、時間が有意義に過ぎていくような気になる。いつも見慣れた風景が、音楽が入ることによって少しドラマチックになる。映像(視覚)だけでは得られない感情の起伏が、音楽によって呼び起こされる。
台所仕事に刺激が入って、単なる作業があたかもドラマの中の主人公を演じているような気分になる。台所が孤独の場所から明るいステージになった。
キッチンの情報化は必須である。映像は必ずしも不可欠ではないけれど、タブレットを設置してもいいのではないかと思っている。