Woven Cityの生活実験...楽しみだね
藤沢SST
【2014年9月記載】
藤沢にあるテレビ工場の跡地に街をつくるという。19ha(6万坪)の土地に1000戸の家が建つ。計画は2008年にスタートし、今年から入居が始まった。はじめは戸建てを中心に造成し、集合住宅も含めて2018年に街として完成する予定である。
単なる分譲住宅ではない。街全体としてのコンセプトを基に、暮らしやすい、百年続く街をめざしている。コンセプトは、環境・エネルギー・安心安全に重きを置き、持続的な街の発展をめざすとしている。だから、SST(サスティナブル・スマート・タウン)。
今回、第一期の分譲は100棟の戸建て住宅で、その多くは40坪の敷地に、延べ床面積110㎡の二階建ての建屋で、価格は5500~6000万円である。しかも管理費として、月額15000円必要なのだが、これが全部売れているというのだから、すごい…。
街の中央口(ウエルカムガーデン)から入り、中心部にあるコミュニティセンター(集会所)に向けて歩くと、街としての統一性を感じることができて、とてもリッチな気分になる。敷地は40坪と狭いけれど、歩道をうまく取り込んでおり、住宅地が密集しているという感覚はない。各戸には4kW相当のソーラ発電機と蓄電池が備わっている。中には燃料電池を備えている住宅もある。共有施設にはソーラ発電機が設置されており、街全体としても3MWの発電能力があり、ほとんど外部からの電力供給はしなくても済む。災害時にも十分対応できるという。
監視カメラで街全体が見守られているという安心感もあり、これらが価格が割高であるにもかかわらず受け入れられている理由なのだろう。もちろん、湘南というブランドがベースにはあるのだが…。
私の感覚としては1.5倍の価格であるし、何よりも一つひとつの家が狭く、単純に一戸の家としてみるととても購入する気にはなれない。けれど、街全体で見たとき、なんとなく「いいかも…」と思わせる雰囲気がある。この得体の知れない雰囲気が価値なのであり、これはなかなか見える化できないし、言葉ではうまく表現できない。けれど、ここに住む人がたくさんいることは、それが価値として存在することを意味している。
当初、この計画を立案していた頃、私にはとても理解できなかった。こんな街が成り立つのか、こんな家が本当に売れるのか。イニシャルコストもランニングコストもかかる、割に合わない家なのに。
マクロで見ると、今まで見えなかった価値が見えてくる。