30年前、サラリーマンにとってゴルフとカラオケは必須であった...
企業戦士
【1994年3月記載】
罷り間違っても130をたたくとは思わなかった。ゴルフを始めてもう10年以上になるが、こんなにたたいたのは初めてコースに出たとき以来である。おかげでこの日はブービー、次回の幹事役をおおせつかった。このゴルフコンペは当研究所の伝統あるHR会(今もって何の略か正しい名称は理解していないが..)で、次回も歴代の所長を招待する予定であり、大変気を使う、骨の折れる役目である。
今回の敗因は3つある。1つは日頃の練習不足と体力不足、2つめはゴルフが面白くなくなったこと、3つめは嘗めてかかっていたこと。
ゴルフを始めた頃は週に一度はゴルフ練習場にいって150~200球は打っていたし、絨毯の上でパターの練習をして上手になろうと努力もした。気合いも入っていた。しかし所期の目標であった"100を切る"ことが2~3年くらいで達成されてからは、そんなに熱が入らなくなってしまった。またその頃サルコイドーシスになって体が極度に疲れ易くなり、激しい運動が全く出来なくなったことも尾をひいていると思う。でも体のことを考えれば週一回程度の打ちっ放し練習は決してハードではなく、むしろ健康には良いのだが..。
また、練習もろくにしないのだから腕が落ちるのは当り前、それで何をしてもうまくいかない。自分の成長の跡がわからないから自然と興味が薄れていく。ここ5~6年は練習場に行っても人が多くなり、待ち時間が長くなかなかすぐには練習できない。家の用事もあったりするものだから、その待つ時間がもったいないと感じてしまって、ついには練習場へ行く気もしなくなった。それにここ1~2年仕事の方で気を使いすぎて、体力も使いすぎて、休日はとにかく横になって眠りたいという思いが先にたってしまう。ゴルフの面白さを完全に忘れた状態になってしまい、しかも若さが無くなっているのだろう。もともとそんなに物事に熱中するというか、根気よく続けるという質でもないから、案外パタッと興味を失ってもおかしくはない。ちょっと中途半端で、あまり大成するタイプではないのだろう。
そして今回は「まあ、そんなに大たたきはしないだろう。過去の実績からみても、いくらなんでも110は行かないだろう。ひょっとしたら優勝してしまうかも知れないぞ。少し手を抜かなくてはいけないかな?」と、こんな風に思っていたくらいだから、ちっとも緊張感がない。こういう個人競技は特に精神力がものをいい、心の緊張度がそのまま結果に反映されることくらい分かっていたのに..。
やっぱり忙しいんだと思う。休日でもボーとして過ごすと何だかひどく損をしたというか、悪いことをしてしまった様な気になる。子ども相手に一日中遊んだとしても、何か後ろめたさを感じてしまう。会社人間になってしまったのだろうか、企業戦士になってしまったのだろうか。出世競争の中にどっぷりと浸かっているのだろうか。..ただ闇雲に知識を吸収して、業務のやり方を考えて、如何にして仕事を効率よくこなし、成果をあげるべきか..。上司の指示意向に充分添えるよう頑張ろうと一所懸命になっているのだ。これで本当の人生を生きているといえるのだろうか? 何をすることが生きることに値するのだろう..。果してこれから、ゴルフでも十分練習する時間を持つことができ、ゆっくりとコースを回って適度な疲労感にひたるゆとりを取ることが可能になるのだろうか。
人生、ゆったりと生きることが出来たらいい。でも現実には、生きるために、子どもを育てるために、お金は必要だ。しかも出来るだけ沢山稼ぎたい。また、他の人より少しでも抜きんでて優越感に浸りたい。それがために懸命に働き続けているのである。私はそんな欲望を抑えられる程の境地にはないし、それを諦めるほど欲望の人生に対する可能性を失ってはいない。
やっぱり今しばらくは、馬車ウマのようになって仕事に頑張るしかない。体に気をつけて..。 頑張れ! 自分に声援しよう。