四半世紀前も、シンガポールは豊かな先進国だった
シンガポール
【2000年5月記載】
「ゴールデンウィークには、シンガポールに行こう」この3月にそう決めた。
一所懸命頑張って働き、少しでもいい地位について、いい給料を貰って、満足感を得ることは決して悪いことではないけれど、結局のところ“いい人生を送る”ことが一番の目的なのだから、ただ我武者羅に働いてお金を貯めることに終始していては、何をしているのか分からなくなってしまう。一所懸命働いて、そして適度に心身をリフレッシュさせ、ゆったりとした気持ちになることが大切だ。
この際、家族みんなで海外に出かけてみよう。もちろん私自身のためにではあるが、子どもたちにとっても、日本という国を離れて、よその国の人々や異なった文化に触れることができたら、これからの人生とても役に立つに違いない。言語とくに英語の重要性を肌身で知るだろうし、ほんとうの豊かさとは何かを考えるきっかけにもなるだろう。そう思って、決断した。そうなると妻の行動は素早かった。旅行会社への申し込みやパスポートの申請等瞬く間にやってしまった。
ゴールデンウィークは、あれこれ考える間もなく近づいてきて、あっという間に終わってしまった。しかしシンガポール行きは、やはりというか、期待していた通りの素晴らしい思い出に残る旅行となった。私もあらためてアジアの中にも日本以上に豊かな国があることを知ったし、またこの国が戦後50年で、ほとんどハダカ同然のくらしから今日に至ったことを聞くに及び、如何にリーダーの力が重要かを実感できたことは収穫だった。 (リ・クアン・ユーのようにアジアにも立派なリーダーがいる) 妻は妻でリフレッシュできただろうし、何よりも子どもたちがいろんな刺激を受けたことに満足を覚えた。長女は英語を使うことに一段と興味を持ったようだし、長男と次男は中国やマレーの文化に接して、日本だけが世界じゃあないことが分かっただろう。
ほんとうの豊かさとは何か。今までのように日本の中で考えているだけでは、その答えを見出すことは到底出来そうにもない。世界を知ることにより、初めて私たちの生活をより豊かにする道が、分かり得るような気がした旅だった。