ストレスだけではない...満足な睡眠が得られないのには原因がある

枕を高くして

【2009年5月記載】

心配事がなく、不安な状態でないときに使う言葉に「枕を高くして寝る」と言うのがあるけれど、最近、本当に、枕は高くしないとゆっくり寝ることができないものだと実感した。

実は、この頃、肩が凝っていけない。肩こりが原因で、二度も病院通いをする羽目になってしまい、枕の重要性を認識するに至ったのである。

新規事業を考えるということは、当然のことながら机に向かう時間が長くなる。しかも、資料をみたり、調査をしたり、考えたことをまとめるにも、なんでもパソコンを使うことになる。だから、目を酷使するし、ずっと同じ姿勢で作業をするので肩も凝る。ここ数年は、目が開けていられないくらいに痛くなったり、肩が凝って首筋が痛くなるといった症状がたびたび起きていた。

一度目は、夜中に後頭部にチクッとくる痛みがして、頭の傾け方によっては激痛がはしるといった症状が出て、その晩はほとんど眠れない状態に陥った。変な病気なのではなかろうかと心配して、翌日病院に行ったのだが、結果的には、肩凝り用の塗り薬をくれただけであった。

二度目は、左の耳に少し違和感があったので、綿棒でいじったのだが、それをきっかけにとても痛くなりだした。妻に肩を揉んでもらったら、随分と楽になったのだが、念のために耳鼻科に行った。これも点耳液をもらいはしたのだが、1、2回使っただけですぐに完治した。

両方とも、原因は肩凝りである。

単身赴任先での寝る時の体勢がよくない。おそらく普通よく使われているポリエステルわた素材の枕なのだが、最初はふわふわしてちょうど良いくらいの高さだったのだけれど、一年も同じ枕で、しかもベッドに置いたきりだから、もう完全にペッシャンコ状態で、枕の役目を果たしているとは言いがたい状況になっていた。

もともと頭の形が悪く、前と後ろが出ているので、上を向いたままでは寝にくく、どうしても横向きになる。そのとき、枕の高さが十分になく、頭が下向きに垂れて少し肩を圧迫するかたちになってしまい、どうしても肩に負担がかかっていた。だから余計に肩が凝ってしまったのだろう。その分、体をほぐす体操を十分にすればいいのだけれど、なかなか仕事中にそれはできない。今の職場に移るまでは、午前と午後にそれぞれ職場体操の時間があり、音楽を流してくれていたのだが、今はそれもなくなり体操をするきっかけも失った。

業務の効率を上げるために、余計な作業や無駄な事は極力削って、その分仕事の時間を増やそうとするのが、昨今の風潮であるが、上述のように、一見無駄なように見えても、仕事の合間にする体操は、従業員の精神的な負荷はもちろんのこと、肉体的なものまで和らげる効果があったのである。効率を追おうとするときには、まず現場の社員の働きやすい環境ができているかどうかを確認してからはじめることが肝心だと痛感した。

ところで、本来「枕を高くして寝る」とは、武士が、敵がいつ襲って来ても察知出来るように、地面や床に頭や耳をつけて寝ていたのが、その危険がない時には枕を使ってゆっくり眠れるということからその語源が来ているらしい。私も枕を高くして、肉体的にも精神的にも仕事のストレスに負けないよう、ゆっくり眠ることにしよう。