ムダを削っていくその先に、何が待っているというのか...

ファミレスにて

【2024年1月記載】

子どもたちが大きくなってからは、久しくファミリーレストランには行ったことがなかった。また、前の会社を退職し再就職をしてからは、仕事仲間と一緒に飲みに行く機会もめっきり少なくなり、特にコロナ禍もあって、ここ数年は大衆的な居酒屋にも行くことがほとんどなかった。

しかし、ここ最近、義母が奈良に来てからは、時々3人でファミリーレストランに行く機会が増えてきた。またコロナ禍も落ち着いてきたこともあり旧友たちとの飲み会(大衆的な居酒屋にて)も少しずつ増えだした。

その際、ほとんどのお店がセルフオーダーシステムをとっているという現実をあらためて認識させられている。随分と前からチェーン店の居酒屋や寿司屋などではタブレットを使ったオーダーシステムが導入されていて、少し面倒なのだけれど、すぐに注文できて便利だとは感じていた。それが最近はさらに進化してきて、自分のスマホから注文できたり、会計まで出来るようになっている。そして中には注文した品をロボットが運んできてくれるところもある。実際に何度か使ってみて思うのだが、なるほど慣れればとても使い勝手がよく便利なツールである。本当に技術の進展には凄いものがある。

一方で、タブレット操作やスマホアプリに疎い人たちがとても困惑するだろうことは、火を見るより明らかである。また、レストランなり居酒屋に行っても、接する人はごく限られたものとなり、孤立感が漂い人の温かみが感じられない。会話やふれあいが無いため、とても味気なくなったような気がする。ICTもしくはDXによる効率化の名の下のコスト削減(人員削減)である。なるほど経費の節約になるし、人手不足の解消にもなるだろう。注文の待ち時間も減るし、オーダーミスも改善されるだろう。しかし…。

そもそもファミリーレストランや居酒屋へは、何が目的で私たちは行くのだろうか。庶民にとって、家を離れてもしくは会社の外で、家族や同僚と日常とは違う空気を吸って、リフレッシュしたり親交を深めたりするためではないだろうか。少なくとも私はそうである。

日常とは異なった環境の中で、人と人との触れ合いを求めて、好きなもの美味しいもの(自分で用意するもしくは手間をかけることなく)を味わいながら至福のひと時を過ごすのである。実際、オーダーシステムを使って飲食しても、今までの店員さんとのやり取りとそんなに変わらない。おそらく誰もが、99%で所期の目的を達成できて満足していると思う。しかし、私にはほんの少し、1%の違和感があった。

久しぶりに行ったファミレスでは、タブレットに向かって注文し、出てきた食事を食べて、あとはレジでスマホ決済をする…こんなものだろうと思った。居酒屋でもそうだ。メニューの種類やその内容、そして価格もタブレット画面でつぶさに分かる。でも、なんだかおもしろくない。壁に掛かっているはずのメニュー一覧や本日のおすすめ品等々が無い。みんなタブレットの中だ。お隣りさんは何を注文しているんだろうか、何を食べているんだろうか。今日は何が美味しいのか…。周囲の状況やそのお店特有の情報は何も入ってこない。外乱が以前と比べて少ない。もちろん店員さんの動き回る姿もあまりないし、声も聞こえない。静かで落ち着いていて良いと言えばそうなのだが…。お店との接点はタブレット画面が主で、人とのつながりは感じない。ましてやロボットが運んでくるとなると、話すことさえままならない。無駄な話はできない。

何だろう。暮らしの余白が無くなってしまうような…。生活にプラスアルファで書き込む余地が無くなっていくような…感じかなぁ。