新規事業創出に向けて...無から有を生み出すための道のりはとてつもなく長かった

SBC TEAM

【2007年5月記載】

SBCTeamでは新規事業創出への思いを持って、数多くの仲間たちと、侃侃諤諤、喧喧囂囂の議論を交わし、試行錯誤を繰り返し、2年間とにかく頑張った。新しい商品を創りたい。新しいR&Dの仕組みを作ってみんなが生き生きと働ける研究所にしたい。何よりも会社の中で私がやった、つくったと言えるものを残したい。そう思って。

しかし、結果的には成就しなかった。共に働いた仲間たちは、元の職場に帰る者、そのまま残って敗戦処理的にひっそりと継続を余儀なくさせられた者、あるいは私のように全く今までの環境とは異なった部門に追いやられた者、様々であった。

要は、CTOにそれだけの意思がなかったのである。今の商品を何とかしなければという思いは人一倍強いものであった。が、今の商品だけでは早晩成り行きたたなくなるという感覚はなかった。それだけの先見性(とはいっても、それ程の先見性が要るとは思えないレベルのことだが)を持ち合わせてはいなかった。

それから2年、歪はすぐに来た。もう何もないのである、新商品のネタが。もちろん来年度商品の特長づけなんて、何もできない。三つの研究所、およそ450名の研究開発者に仕事をしてもらうだけのR&Dのテーマがないのである。先日も、全テーマのヒアリングをしたのだが、やることがなくて仕方なしにやっていると思われるテーマがいくつもあった。白物家電においては、洗濯機の洗浄性能や洗濯時間を競ったり、冷蔵庫の保鮮度や省エネ度を訴求してもインパクトはなくなってきた。ミスト洗浄だとかマイナスイオンで健康だと言っても、所詮小手先の特長付けであることは、消費者の目から見ても明らかだ。これまで私たちが懸命に取り組んできた商品の「機能競争の時代」は終わったのだ。

しかし、新しい商品提案は全くできていない。30年前の電子レンジ、25年前の石油ファンヒーター、15年前の温水洗浄便座、そして食器洗い乾燥機やIHクッキングヒーター、はたまたヒートポンプ給湯機のような新しいカテゴリーの家電は出ていない。出ていないだけでなく、その芽もない状態だ。いわんやもっと次元の違う新しい事業なんて想像もつかないのが現状だ。

けれど、ここに来て風が変わった。CTOが交代したのだ。私の環境も変わった。今の職場を出て、新規事業創出プロジェクトを担当することになった。今再び5年前の思いを胸に刻み込んで、新たな道を歩んで行こう。この道は決してバラ色の道ではないけれど、いや、もしかしたら道なんてものはなく、私たち自身が造って行かなくてはならないのかも知れない。けれど、その分いろいろな体験ができそうだし、きっと良かったと思える道造りになることだろう。そう信じて、SBC(strategic business creation)の道を造って行こう。