素人が考えて分かることが、日銀に分からないのは何故だろう
円の価値について
【2021年1月記載】
新型コロナの感染が広がりだして1年が経った。この1年で私たちの生活は一変した。一言で表すならば、リアルの世界からオンラインの世界へ移ったといえるのではないか。行動範囲は限られてしまい、なにごとも移動せずに済ませようと、会議や飲み会はすべてがパソコンでのオンライン行うようになった。新型コロナ禍で世の中は大きく変動した。そして今までの価値観もそれによって変わろうとしている。
新幹線は、ビジネスマンにとってなくてはならないものであったし、飛行機は移動手段として最も時間的効率が良く、エリート意識をくすぐるものであった。しかし、どうだろう。新幹線は全く使い物にならないし、国際線なんて誰も使わなくなった。花形産業が一気に地に落ちてしまった。考えられなかったことだ。飲食業やサービス業は客足が遠のいてしまい不振にあえいでいるけれど、それと同じように、将来を見据えるとそれどころではない惨状だ。世の中は確実に変わっている。
政府は新型コロナ禍への対策として、なりふり構わず国債を大量に発行している。これまでの長く続いた低金利政策で市場にお金がダブついているにも拘らず、なおも赤字国債を乱発せざるを得なくなっているのだから、明らかに日銀の失敗である。
世の中は不況に向かっているはずなのに、株価は下落するどころかどんどん上昇している。株式だけではない。金相場も上がっているし、不動産も堅調に推移している。容易に考えられるのだが、市場でダブついているお金の行き場がなくて、株や金それに準じる高額商品に流れているのだろう。個人的にも、日本円に対する不安は強く、近いうちにその価値が失われてしまいはしないかとても心配になる。特に年金をもらう年齢になると、老後の頼りはお金しかないし、それも新たに稼ぐというわけにはいかない。自ずと今までの貯えと年金支給に頼らざるを得ない。貯蓄が目減りするのはたまらないし、年金も減額されるのならまだましで、円の価値が著しく低下してしまうと困るのは明らかだ。政府としては、インフレになればなるほど国債などの借金は軽減できるし、年金負担も軽くなり、財政は健全化に向かうのでウエルカムだろうけれど。
65才まで頑張って働いてきた。それによって貯えも何とか出来たし、年金もそれなりに満足できるレベルでもらえそうだ。しかし、果たして世の中はこのままで推移していくのだろうか。貨幣価値は維持できるのだろうか。どう考えても今の円の価値は半分程度になっていてもおかしくないし、それに向けてハイパーインフレが起こっても不思議ではない。
高齢の一般庶民にとって、今の時点で株や金に投資できるものでもないし、何もできないままで年金に頼るしかないのが現状だろう。昔の大家族ならば、世代間で何とか凌げるだろうけれど、今は夫婦世帯が主であり単身世帯も多く、自分だけが頼りで互助なんてことは考えられない。老いてはお金だけが頼りなのにこの有様である...。
自己防衛としては、今のうちに(貨幣価値が失われないうちに)生活に不可欠な耐久品(家、自動車、設備機器)の先行購入もしくは改修・バージョンアップをしたり、円だけでなく外貨での預金をしておくしかない。
いよいよもって、先行きは不透明になってしまった。


