31年前、私は企業戦士だった...この後、大変なことになるのだが...

仕事もほどほどに

【1995年3月記載】

  仕事はほどほどにしておくのが一番良いのか。あまりにも責任感を強くして、何事も自分がやらなければならないと思い込み無理をし過ぎるのは良くない。結果的には何もいい事は無く、ただ周囲に迷惑をかけるだけの事となる。

  先日技術部会の研修会で、岡山の林原生物化学研究所に行ってきた。阪神大震災の煽りをくって山陽新幹線が不通となり、適当な交通手段が無くなって、一時は諦めかけていたのだが、何とかバスをチャーターして実施することができた。しかしこの研修会で無理無茶をしたつけが回ったとみえ、1ヶ月半前から患っていた左顎下のこぶがより一層腫れるはめになってしまった。せっかくこぶも小さくなりかけていたのに..。京大病院の先生が仰るには、

「このままの状態だと腫れた部分が癒着をおこし、取り除くとき面倒なことになる。首のまわりにはたくさんの神経が走っており、下手に神経を触る様なことがあると、顔面神経痛みたいになりかねない。早いうちに切り取った方が良い。もうしばらくは経過を見るけれど、次回には手術をするかどうかはっきりさせよう」

  ショック!  せっかく楽しみにしていたガンバフリークスミーティングも息子と一緒に行けなくなったし、研究所の一泊レクリェーションでのゴルフも取りやめ、家族揃ってのドラえもん映画やガンバVSレッズ戦も今の感じでは危なくなってきた。結局行き着くところ、妻や家族のみんなにしわ寄せが来ることになってしまった。

  誰も今回の件を気にとめてくれる訳じゃあないし、他人の体のことなんてイチイチ本気で考えてくれる人はいないということがよく分かった。自分の体は自分で守らなければならない。サラリーマンにとっての体は資本なのだから、その資本を失わない様にしなくてはいけない。

「体は大丈夫か、こぶはどうか。ホルモンのバランスが崩れているのではないか、気をつけて..あまり無理はするなよ」
と、所長も心配はしてくれて、とても有難い。けれども、実際には社長報告や事業計画の策定等仕事は次から次へと山のように入ってくる。贅沢は言っておられない、何とかこなして行かなくてはならない。例えば先日の研修会、私がこの様にしんどい状況にあるにもかかわらず、みんな私におんぶにだっこ。夜の宴会も、

「飲めば治る。消毒だよ」

などと、無責任なことを言い出すし、早く休みたいと思っているのに興が乗じてくれば、人のことなどお構いなしで、やれ飲め、やれ歌え..。悲しいかな私も生来のお調子者だから、そう言われればついつい無理をしてしまう。その結果がこうだ。私も馬鹿だった..。

  今度の一泊レクリェーションにしても、
「レクリェーションを休んでもらっては困る。今度のレクは旧の住設機器研究所として最後の懇親会なのだから..。それまでは年休をとって休んでもいいから、是非レクには参加して欲しい。」
何だ、私は単に懇親会を盛り上げる為の道具にしか過ぎないのか..。
  極めつけは、
「おい、そのこぶ何とかならないのか。早く取ってしまえよ。気になって無理を言えないじゃあないか。」
「・・・・・・・・」

みんなそれ程ひどい事を言っているんじゃあなくて、それなりに気遣っていろいろと発言したり、行動してくれていると思う。けれど、当り前の事ではあるのだが、誰も私の健康を気遣って一人称で考えることは出来ない。他人の健康を気遣いはするが、結局のところ自分にとって一番都合の良いところで物事を見てしまうし、気遣いもそのレベルで止まってしまう。実際に運命共同体には成りえないし、所詮大多数の人は損か得かで動くものであり、自己犠牲の上に立って考え行動できるのは親と子でしか有り得ない。そう言った意味で、妻や子どもたちの意見するところは素直に聞くべきであった。

  私は本質的に体が弱い。これからの会社生活で何に重きを置いて行くべきかを思うとき、仕事上の評価は二の次にして、体力的な無茶はしないようにあるところで一線を画すようにすべきであろう。例えば夜の付き合い、これからは絶対に二次会には出席しないようにし、午前様になることがあってはならないと誓うことにしよう。酒が飲めなくて仕事が出来なかったという話は聞いた事が無いし、酒の場で仕事をうまく運ぼうなんて考えは、成果をてっとり早く手中に納めたいとするスケベ心でしかないはずだ。

  一方、無理を避けるためにはやはり計画的な仕事の進め方が要求される。この計画立案にはかなりのウエイトを割いても構わないと考え、目標や役割分担をハッキリさせて仕事を進めるように努めよう。緊急時にある程度の無理をするのは仕方がないが、緊急状態が2週間、3週間さらには1ヶ月、2ヶ月と続くようでは、プロとして管理者として失格だろう。無理は罪悪だ。

  ともあれ、私の体にとって何が最善か、一時の面白さに酔って無理無茶をしてはいないか、良く考えることだ。これからは土曜日、日曜日に寝ていなくては体がもたないといった状況にだけはならないように...。自分自身のためにも.....。