技術の進展により価値のはかり方は変化する?
重量で課金したら
【2015年3月記載】
ICT技術の進展に引っ張られるようにして、センシング技術も進んでいる。だから結構リーズナブルな価格で、いろいろなものが測れるし、その精度も高くなっている。
ところで10年くらい前だったろうか。長女が通っていた大阪の大学に行ったときのこと。昼食を学食でとったのだが、とても驚いたことがあった。なんとランチ料金を、その重さで支払っていたのである。ご飯だろうが、サラダだろうが、炒め物だろうが、煮物だろうが、それらをひとつのプレートに載せて、トータル重量でもって課金していた。料理の種類によっては高価なもの、安価なもの、さまざまだとは思うのだけれど、これらを重量というメジャーによって、一律に評価しているのである。それが成り立つのだから素晴らしい。私たちの日常社会では、料理の種類ごとに価格を決めて量り売りをしているけれど、毎日同じものばかりは食べられないというユーザーの利用状況を考慮すれば、一律に重量というメジャーで課金するというのは効率面から言ってもとても有効だ。
重量での課金はとても的をえているような気がする。重量による課金をもっと考えても良いのではないのか。
課金制度が変われば、自ずと私たちの行動も変わる。もしも料金、すなわち物の値段を個数ではなく重量で決めることができればどうなるのだろう。今は、誰もが見た目で分かる個数でモノを売ったり買ったりしているけれど、それはモノを個数でしか定量化できないので、仕方なしにそれでやっている面もあり、もっとモノを評価する尺度が多面的に、精度良く簡単にできれば、世の中より公平な価格設定となり、より効果的な社会システムになっていくと考えられる。
その第一歩が、重量による課金ではなかろうか。従来の個数での課金から、重量での課金に変わると、劇的に世界は変わる。
重量で課金すればいいなと思う例として、一番に挙げられるのが、航空運賃である。一年ほど前からサモア航空では乗客の体重に基づく運賃制度を導入しており、これは大成功を収めているらしい。空を飛ぶのに、重い人はそれだけ負荷をかけているのだから、当然といえば当然のことではあるけれど。みんな安くあげるためにダイエットをするので、肥満の多いサモアでは好評となっているのも頷ける。
もっと計測技術やセンシング技術が進めば、自動車にだって重量による課金制度を設けられるのではないか。特に高速道路などの耐久性、すなわち損傷や消耗度合いは、車の重さによるところが大きく、トラックなどの重量物を運搬する車が道路に与える影響はとても大きい。ダメージを与える分、料金を支払うというのは理にかなっている。そうすれば副次的に加重積載などという行為が減少し、より安全な走行ができるというものである。
電車やバスだって、体重で課金すればとてもドラスティックに変わる。今はほとんどの人がICカードを利用しており、一円単位での料金体系は認知されているので、利用する側に細かな料金体系に対する違和感は無い。みんながダイエットに励むので、国全体としての健康レベル向上し、保険料負担などが減少するので財政的にも効果は大きいはずだ。
評価制度を変えていくことは、新しい価値を生み出すことに繋がる。