私たちは、いつも社会的な課題を考えながら生活してはいない。朝三暮四でも仕方ないのか...
電話世論調査
【2020年2月記載】
土曜日の午前、コーヒーを飲んで、ゆったりとくつろいでいた時、私の会社用携帯電話が鳴った。休日はカバンの中に放ったままにしているのだが、この時はたまたま手元に置いていたのですぐに出ることができた。発信元は”0120-***-***”と、知らない電話からであったが、とりあえず出てみた。
「○○○社の△△△△と申しますが、世論調査にご協力をお願いします」
まぁ、売り込みでもなさそうだし、単なるアンケートのようだし、3分で終了するという。プライベートの携帯にかかっているわけでもないので、このまま相手の意向に従ってみようと思った。何だかNHKが時々放映している国民意識調査のようなものに感じる。
まず、下4ケタが□□□□の電話ですかと確認した後、この17日に調査結果を公開するという。そしていくつかの質問が続く。
「安倍内閣を支持しますか、支持しませんか」「その最も大きな理由をお答えください」
「どの政党を支持しますか」
「新型コロナウイルスの感染が拡大しています。政府の取り組みを評価しますか」
「桜を見る会に関して安倍首相は十分に説明していると思いますか」
「米大統領選でトランプ氏が再選した場合、日本によい影響を与えると思いますか」
「安倍首相の下での憲法改正に賛成ですか、反対ですか」
「次の首相にふさわしいのは誰だと思いますか」 等々
そして最後に、私自身のことについて聞かれた。
「どこにお住まいですか」、「何十代ですか」、「社員ですか」
「携帯電話は何台お持ちですか」、「固定電話はお持ちですか」
とても速い口調でしっかりと話す。3分では終わらなかったと思うけれど、割りと手短にさっさと終わった。
この類の世論調査は、2,500~3,000人程度を対象に行っているようだから、凄い確率で掛かってきたのだろう。電話下4ケタで該当したのなら確率的には一万分の一であり、アンケート数的にも頷ける。無作為に電話番号を抽出し、回答を得ているのだろけれど、これに応えられる人はそんなにいないのではないか。多くの場合、回答率は60%弱ということであるが、今回の体験を踏まえると納得できる数値ではある。
突然掛かってくる電話にそうすぐには出られないし、出られたとしても対応するだけの余裕がいつもあるわけではない。それに質問の内容がとても政治的であり、常に意識していないと即答できるようなものでもない。電話で飛んでくる質問であり、ある程度一方通行的なものであるから、質問内容をじっくり確認しながら回答を選択する時間はない。あらかじめ答えを持っていないと、すぐには答えられない気がした。自ずと「わからない」「どちらともいえない」的な回答にならざるを得ない気もする。また、政治的な内容であるがため、拒否する人も多いのではなかろうか。
思うに、アンケートに応えられなかった人たちの意見はとても重要なのではないか。彼らは真の意味での大衆なのではないのか。私の直感的なものだけど、おそらくそのような人たちは選挙にも行かないだろうし、世の中を上手く渡っている人たちではないだろう。世論調査と選挙結果の相関性があるのは、世論調査に応えられる人は選挙にも行く層だからではないか。
何となく感じてしまう。世の中から振り落とされた人々、世の中の声として上がってこない人たちがたくさんいて、そのような人たちの思いを私たちは本当に知ってはいない、と。