用語は正確に理解しないといけない。特にトップは...。大震災の前だけど、T電力には学ぶことが多かった

イメージで考えることの間違い

【2010年6月記載】

東京出張の折に、T電力のO部長とランチをご一緒し、情報交換をさせて頂いた。彼女曰く、

「東京では、今、下町がとても元気で、高齢者や単身者の買い物客を中心に、商店街が活気を取り戻してきている。特にお年よりは、お店を一軒一軒回りながら、会話を交わすことにその価値を感じているようで、会話こそが高齢者の元気の源となっている。
また、高齢者に関して言うと、単にUDにしなくてはいけないといって、スロープを設けたり、手すりを増やせばいいというものではなく、ある程度の段差なり、不自由さは、高齢者の運動機能を退化させないために必要であり、ドイツでは今までのUDと言う考え方の見直しを始めている」

下町といえば、ゴーストタウン化しないまでも、ごみごみしてお年寄りが住むには適さない場所とのイメージがあったのだが、確かに亀戸あたりでは、町もきれいだし、交通の便もよく、住み心地はよさそうだ。現に、私の伯母も独りだけれど、機嫌よく楽しそうに、亀戸に住んでいる。
そういえば、UDに関しても、私の母はクモ膜下出血で倒れた後、右半身を患いながらも、段差があったり手すりの少ない、ほとんどUD的な配慮をしていない実家で、毎日をリハビリと位置づけて、およそ25年間元気よく生活していた。

下町、UD...言葉のイメージだけで、すべてを判断すると誤った解釈なり、考え方をすることになる場合があるようだ。

今、私たちの会社は、「環境革新企業をめざす」とか「グリーンライフイノベーション」、「グリーンビジネスイノベーション」といったスローガンの下、環境負荷低減をはかったくらしを提案しようとしている。しかし、「環境」とは一体何だろう。「CO2±ゼロのくらしを実現する」とはどういうことなのだろう。

私に限って言えば、環境という言葉はあまりにも日常的であり、環境によい=省エネ、省資源 となり、照明や家電製品は使わないときはこまめに消す、ごみは分別して廃棄する 程度の認識である。

しかし、これらは今の環境保護やCO2削減に向けてのトレンドでいえば、重箱の隅に過ぎないのである。省エネだけでは、CO2削減はこれ以上できないレベルまできており、ペットボトルを回収した程度では資源の有効利用にはならない。

「まるごとエネマネ」というプロジェクトが全社的に推進されている。エネマネで何ができるのか。我が社はCO2±ゼロをめざすと言っているので、エネマネもCO2±ゼロにするという。CO2±ゼロにするには、再生可能エネルギーを使わなければならない。この再生可能エネルギーを利用するときに生じる課題が、電力の供給不安定であり、電力の品質悪化である。これを解決する取り組みが今流行のスマートグリッドであり、スマートハウスなのである。要は、不安定な電力供給に対して、どうして供給の安定化をはかるか、需要側でどううまく利用するかが、問われているのである。エネマネはエネルギーのマネジメントであって、省エネの技術を追求するものではない。なのに、そうであるのに、エネマネ=環境となり、「環境」という言葉から連想して、いつの間にかエネマネ=省エネとなっている。だから、トップは言う、「エネマネでいくら省エネしてくれるんや」、「CO2は半減できるんやろな」

大きな間違いである。環境革新企業であり、CO2±ゼロにするためには、エネマネだけでは何の足しにもならない。再生可能エネルギーを如何に使うかを考えることが大切なのである。本当のところを誰も理解してはいない。