生活情報の活用は多くの可能性を秘めている...なのに?

ネットワーク家電

【2025年10月記載】

我が家にはエアコンが6台ある。この家を建てて42年が経つ。この間、リビングから始まって和室、子ども部屋と少しずつ増やし、防音室を含めて6台となった。リビングと和室のエアコンは一度買い替えたが、その他は買い替えることなくそのまま使っている。だから長いものでは25年程度使っていることになる。ただ、防音室や子ども部屋のものはその使用頻度が極めて少なく、防音室に至ってはこのところ年に数時間しか運転していない。部品の経年劣化はあるにしても、今のところ十分役目は果たしていた。

先般、H電器の提案により、国の補助金制度を利用してヒートポンプ給湯機とエアコンを買い替えた。その際、補助金制度が昨年から一部変更されていて、条件を満たすにはエアコンを追加しなければならなくなり、結局エアコン2台を買い替えることになった。

その2台目の設置が終わり、工事をした店員さんが商品の取扱説明書と保証書を置いていった。エアコンの取扱説明書なんて今までほとんど目を通したことはなかったし、その必要性も感じていなかった。ところが、取説の表紙のど真ん中に、4㎝四方の2次元バーコードのシールが貼ってある。そこには、「アプリで遠隔操作」と記載されている。

「ネットワークに繋がるの?」

ところで、リビングに設置してあるエアコンは200V仕様で出力が大きく、我が家で最も稼働しているものだが、これは私がネットワーク家電の開発プロジェクトを担当している時に商品化したもので、エアコン本体に別売のアダプタ(コスト面からWiFiではなく小電力無線を利用)を付けて、業界でも初となる遠隔操作ができるものであった。当初はとても便利な機能として重宝していたが、やがてスマホとの通信に不具合が生じ、今ではこの機能を使うことはしなくなっている。私の頭の中では、家電(エアコン)の遠隔操作は過去のものとなり、すっかり忘れていた。

だから、少し驚いた。エアコンにWiFiが内蔵されているのか…あれほどコストのかかっていたものが今では標準機能として備わっているのだから。

早速アプリをインストールしてスマホに繋げてみた。とても簡単に繋がって、スマホからエアコンをコントロールできるようになった。開発当初の機能がそのまま再現されている。やはりこれは便利だ。

エアコン2台をネットワークに繋げ一段落すると、ヒートポンプ給湯機もネットワーク化できると工事をしてくれた人が言っていたのを思い出した。せっかくだから給湯機も繋げよう…。これもすごく簡単に繋げることができた。が、残念ながら、私の場合は風呂の遠隔操作までは必要ない。その有効性は今のところ分からない。

しかし、エアコンやヒートポンプ給湯機が手の中(スマホの中)に納まっている感覚は何となく嬉しい、。十数年前のスマート家電(ネットワーク家電)を開発していた頃を思い出し、ここ数年は気に留めることが無かったけれど、その後どうなっているのか…おもむろにP社のHPをのぞいてみた。

IoT家電として、エアコン、テレビ、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、ロボット掃除機などが紹介されている。遠隔操作、利用状況の見える化(数値化、省エネ化)などの便利な機能を分かり易く説明している。

私たちの蒔いた種は確実に芽を出して、育てられているのが分かる。少し安心したのだが、しかし…種を蒔いた当時のままで、あまりよく育っているとは言い難い。いわんや新しい種は蒔かれていないし、大きく育ちそうな気配もない。ネットワーク家電はこれまでなのか…。

家電は人のすることを代わりにしてくれる。人の眼であり、耳である。人の手足でもある。人に代わってセンシングをしたり、モノをコントロールすることをもっとやっていいはずだ。今の家電にできること、その中でのみ家電の役割を考えているとしか思えない。もっとできるはずなのだが…。

家電の持っている生活情報は凄いんだから!