料理をマスターすることは、家事ができるということに他ならない

料理の勉強

【2021年8月】

仕事を辞めたら何をしようか。前の会社を定年退職する時には、次のステージで働くことを考えていた。どんな仕事をしようかと…。社会の一員として、できるだけ自分の持っている能力やこれまでに培ってきたスキルを活かせる仕事がしたかった。実際のところ100%とはいかないまでもそれは実現できたと思うし、みなさんのお役に立てたと感じている。しかし、それももう十分やった。そろそろ体力的に今の仕事を続けていくのはしんどくなった。いつ辞めてもいいと思っているし、できるだけ早く辞めたい。

それでは仕事を辞めたあとはどうするのか。何となく社会とのつながりは維持したいと思っていた。フルタイムで働かなくても、週に2、3日今までの経験を活かせる仕事ができたらいいだろうし、ボランティア的な企業コーディネーターもしくはコンサルタントでもあればしたいと考えていた。が、そんな都合の良い話なんてあるとは思えない。きっぱりと仕事とは縁を切って、悠々自適で絵を描いたり、楽器演奏とか、英会話の勉強、ゴルフ、フィットネスクラブに行ったりとか、義父のように陶芸をするのもありだろう。最近流行りのブログを開設してもいいし、ユーチューバー的なこともできるし、トレーダーだってある。いずれにしても遊んだり学んだり体力維持に努めたりとやることはたくさんありそうだ。

そんなことを考えているのだが、ふと思った。これからの私はどんな生活パターンをとって、この先いくつまで生きていくのか。そして最後まできちんと生きていくことができるのだろうかと。

自由な時間を使って遊んだり、学んだりして充実した人生を送るのは良い。けれど毎日の家事は誰がするのか。今まで通り妻にお願いするのか。彼女だって自由な時間は要るだろうし、第一彼女がいつまでも元気で私の世話をしてくれるとは限らない。彼女と役割分担をするにしても、当然自分のことは自分でしなければならない。最悪の場合は私がすべてをしなくてはならない。ひょっとしてお義母さんの世話もしなくてはならないかも知れない。

掃除や洗濯は、ある程度できる。これはそれほど高度なスキルを要するとは考えていないけれど、料理はあまり自信がない。しからばこれを早急に身につけないといけない。料理ができれば何とか残りの人生をしっかり送れることになる。まずは料理を勉強することだ。

考えるに、料理とは理科の実験に近いのではないか。物理と化学の世界で、物質に力や熱を加えたり、化学反応をさせたりすることではないのか。一方で、料理に使う家電機器の性能や使い方は、今までの会社生活で多くを学んできたし、他の誰よりもよく知っている。料理の作り方を勉強するための素地は十分にある。そして理科の実験だとしたら、基本的な要素を把握することにより、いくらでも応用が利くということである。自分なりのレシピが自由に創出できるし、食材に応じてそれを楽しむことができるはずである。

私が今までやって来た“モノづくり”とか“新規事業創出”にも繋がるところがある。なによりも、妻の足手まといにならずに、しかもモノづくりだけれど余計なモノを子どもたちに遺してその処分に困らせるようなこともない。つくった端から食べてしまうのだから。きれいさっぱりと人生の幕を降ろすことができる。

毎日頭を使うのでボケにくいだろうし、しかもまわりの人に喜ばれて、死ぬまで自立できそうだ。やはり仕事を辞めたら料理をしっかり学んで身につけた方がいい。