平日のゴルフ場は老人ホーム...見事にその仲間入り!

W第一ゴルフ会

【2019年11月記載】

想像していた以上に“年寄りの集り”という色合いが強かった。

ゴルフを再度やり始めて2回目となるラウンドは、前に勤務していた会社のOBが主催する“W第一ゴルフ会”のコンペだった。研究所時代の元上司からのお誘いで参加することにしたのだが、あまり知った人はいなかった。

このW会はいくつかのグループがあって、この会は第一ゴルフ会という名称で、最も伝統があり、会員も多いと聞いていた。40人の会員がいるらしいのだけれど、この日集ったのは10名。今までで、最も参加人数の少ないコンペになったようである。

幸い天候には恵まれて雲ひとつない快晴。気温は少し低めだけれど、ほとんど無風に近く、とてもしのぎ易く、気持ちの良いラウンドとなった。

知っているのは、私が課長になりたての頃の上司であったYYさんと今でもそうだけれどよく面倒を見てくれているKFさんの2人だけで、YYさんが76才、KFさんが72才で、私が知っている25年前の姿からはほど遠い。コースを一緒に回らせてもらったのは、FFさんと78才のMさん、82才のYさんで、64才の私が少し浮いて見える。他の組のメンバーも同じようなもので、みなさん私が奈良でバリバリ仕事をしていた頃よりもずっと前に活躍されていた年代層である。少なくともひと回りは違っていそうだ。

Mさんは年に120回ラウンドするというだけあって、ハーフ40前半で回り、またYさんも少し背中が曲がってはいるもののハーフ50を切る腕前である。歳の割りにはとっても元気で、スコアではまったく歯がたたない。

この日は平日の金曜日であったが、大手物流会社のコンペが開催されたこともあり、駐車場がいっぱいになる盛況であった。が、お昼のレストランでの光景は普段は見られないものであり、少しとまどいを感じずにはいられなかった。まるで老人ホームなのだ。ざぁっと見渡しても若い人は全くいない。少し注意深く見ても、そこにあるのは白髪と禿げばかりで、黒い頭は全くない。女性が2、3人いたかと思うが、その方もご老人。

W会のメンバーと一緒なのだけれど、全くの老人会の中にいるのが分かる。これだけ老人が集る所って、老人ホーム以外にはないに違いない。それほど老人だらけなのだ。最近のゴルフ場はセルフ方式が主流で、カートに乗って、それぞれクラブを数本持って歩く、もしくは走る。けれどここMカンツリークラブでは、キャディさんがたくさんいる。セルフでのラウンドはしない人が多いのだ。いくら上手だといっても、歳をとった身には、ボールを追い、探して歩くのは少々辛いものがある。だからキャディさんがいるといないとでは体にかかる負担が全く違う。前回の大学時代の友人達とのラウンドはセルフ方式であって、あがりの3ホールで足がつったのだけれど、今回は何の支障もなく回ることができた。何せ、歩くことは少ない上に、全く走らなかったのだから。

その分、プレー費は高くついた。会への参加費と年会費を合わせれば2万円近くかかり、前回のプレー費のおよそ3倍となった。昔のイメージだとこんなものかと思うけれど、今の若い人たちにとっては、結構高いものとなっているだろう。私たちの世代よりもひと回り上の世代にとって、ゴルフはメジャースポーツであり、健康を保つうえでも有効で、いまだに盛んなようであるけれど、今回久しぶりに、ひと昔前によく訪れたゴルフ場に再び来てみて思うに、ここはまさに老人ホーム、しかも健康な老人たちの憩いの場であると。この世代の人たちが去ったあと、おそらく10年も経てばガラッと変わっていて、このゴルフ場を訪れる人はほとんどいなくなっているに違いない。

私たちよりひと回り上の人たちは、私たちに比べてずっと裕福なのだから。60才で定年を迎えてそのまますぐに年金生活に入り、しかも当時の人たちの年金額は多いし、加えて当時の企業年金も厚遇なので、生活は楽なはずだ。年に120回ゴルフに行っても十分余裕を持って生活できる。そんな豊かな老人たちなのである。

この先、ゴルフはいったいどうなっていくのか。ゴルフ場はどんな運営になっていくのか。せっかく先輩たちのグループに入れたのだから、とても爺さん臭いけれど、自分自身の健康維持に努めながら、彼らの行く末を見たいと思った。なぜだか日本の高度成長を支えてきた人々の幸せな姿を見届けてみたい気がした。