専業主婦の時代が終わった今、男はさらに意識改革をしないといけない!
働く女性は甘えてる
【1997年3月記載】
女性は戦力にならない。企業活動において、特に専門の技術力を要する業務では、女は使いものにならない。その女性の質にもよるのだろうが、現場の責任者としてはそんな気持ちで一杯だ。男女雇用機会均等法が施行されてもう随分と経つけれど、女性が男性と同じように職場で重要視され、責任を負わされ、それなりに成果を上げているかというと、全くもってそのレベルには達していないというのが実状である。当研究所の女性はレベルが低いのだろうか。
先日、材料分析担当の女子社員が所内で化学薬品のアンケートをとった。私たちのグループでアンケートをとりまとめ、その担当女子社員のいる実験室に持って行ったのだが、そこで何とも気分の悪くなるような光景を見てしまった。
私たちの研究所では大小様々な実験室に分かれて、各所員がプロジェクト単位で仕事をしているが、材料分析においては通常の開発プロジェクトとは異なり、ルーチンワーク的な作業が主体でマネージメント体制がしっかりしていないことと、分析装置がいくつかの実験室に分散しているため、その女子社員は彼女の専用と化した分析用の実験室にこもって、何をしているか分からないような状況にあった。
その時、彼女は所内コンピュータ管理担当の女子社員と二人でおしゃべりしていたのだろう、私を見て慌ててその場を取り繕うようにして立ち上がった。しかし私がショックを受けたのはそんなことではなかった。そんなことはしょっちゅう目にしていたのだから、いまさら驚くことはない。それよりも私たちの開発グループの一員で、半年前に育児休暇を終えて開発第一線に帰ってきた女子社員が、その実験室の奥の方でパソコンに向かってトランプゲームをして遊んでいたのに、とてもびっくりさせられてしまった。もう少しはましな人間だと思っていたのに、この体たらくは何事だ。つい2、3日前面談をして、家事、育児と仕事の両立をしていく為にも、後輩女性の良い模範となる為にも、頑張ると約束したのに。家事があるので残業が出来ない分、就業中は効率よく、集中して仕事をしようと言っておいたのに、このざまである。もう、プッツンもいいとこだった。
もともと育児休暇を終えて職場に復帰するにあたり、年休やチャレンジ休暇と称してこの半年間に30日も有給休暇をとらせて、甘えさせたのが良くなかった。姑との関係がうまくいっていないせいで体調を崩したからとの理由だけで、たびたび朝から晩まで健康管理室で寝かせるなど、少し過保護過ぎたのがいけなかった。例え、一週間前からプロジェクトリーダーのKさんが急病で倒れたから、何をしていいのか分からなかったにしても、遊んでていいという理由にはならないだろう。「しっかりしろよ!」と怒鳴りたくもなる。
「女は馬鹿で甘えてばかり。権利を主張するばかりで、義務を果たさない。ちっとも仕事の役には立たない」
これではそんな風に言われても仕方がない。
ところで、毎年春になって新しい年度が始まろうとする頃、いつも話題になることがある。子供たちのPTA役員や地域の自治会役員の選出について、今年はやらなくてはならないとか、今度はうまく逃れることができたとか、そういった類の話を夫婦ですることが良くある。その中でちょっと気になることがある。
子どもも3人いれば幼稚園や小学校のPTAのお手伝いは、自ずとしなければならなくなる。PTAの役員とまではいかなくても各種の催し物の係を引き受けなくてはならない。また地域の活動においても、自治会の役員や班長とか、子供会の世話役は順々に回ってくる。しかし、この役員なり世話役を決める時が大変だ。誰しも面倒な役まわりはしたくないところだし、そんな暇があるくらいなら、もっと他のことに使うなり、ゆっくりしたいものだから、いつも役員を決める会議はひと悶着もふた悶着もあるらしい。特にその会議の出席者は、そのほとんどが女性であり、決定するのに深夜までかかるのが常である。皆一様に自ら引き受けようとする人がいないから決まらない。とにかく我慢比べの様相である。時に、くじ引きで決定しようとすると、家事や家庭の都合とか体調に訴えて、それすら満足には出来ないらしい。
つい先日も、小学校のPTA役員や各種委員を決める集会で、こんな事があったらしい。会議が始まるとすぐに仕事を持っている母親の一人が、
「私には仕事がありますので、今後一切こういった類の会には出られませんし、どんな役も引き受けられません。それでは失礼します」
と言って、さっとコートを羽織り、仕事へと向かったそうだ。妻曰く、
「かっこ良く、さすが仕事をする人は違うと思ったけれど、いくらなんでもこれじゃあ、私たち専業主婦は暇を持て余して、楽してばかりいると言っているようで納得できない。なぜ専業主婦にばかりこういった世話役を押し付けるの?」
それはそうだ。小学校のPTAだって自治会の運営だって余程の理由が無い限り、皆均等に責任を負うべきだろう。地域社会の人々や会社の同僚に甘えながら、共働きをするのは、どうも変だ。共働きの女性と専業主婦の場合を比較してみると、2人働ける分、共働きの場合は収入も倍になる。それで豊かな暮しをしておいて、収入が半分の専業主婦に嫌な役まわりを押し付けるのはどんなものか。同僚の男性たちに甘えて、残業もほどほどにして、仕事での責任を取ろうとしないのはいただけない。
共働きの女性にかかる負担が大きいのは分かる。けれど、男性と対等に仕事をしようとするなら、それなりの努力と思考の転換は必要だ。男だって共働きでは自ずと仕事への集中度は低くなる。それだけに、家事の負担が大きい女性にとって仕事をするのがどれだけきついか察しもつく。だからこそ、限られた時間を有効に使わなくてはいけないし、地域の人々から少しでも理解して貰えるよう、出来る範囲で努力することも大切なんじゃあないだろうか。共働きが共稼ぎになったんでは、周りの人はやってられない。

