四半世紀も前のことなのに、今にも通じているのは悲しいことだ...上手くいかない最大の要因はトップにある

何故そうなのかもっと考えよう

【2001年3月記載】

 研究開発に最も大切なものは創造する力である。どんな小さな事でも自らが考えて、生み出したものには、人を説得する力がある。思わず「うーん」と唸ってしまうような魅力がある。そういった場面に出会うととても楽しくなる。まさに研究開発の醍醐味といえるであろう。

 この創造力の源はなんと言っても豊富な知識である。如何に特異な発想力を持っていたとしても、どんなに論理思考が得意であったとしても、そのベースに豊富な知識がなければ何も生まれては来ない。いろいろな情報が入って来なければ、努力はなかなか報われない。創造力を発揮しようとすれば、情報をたくさん仕入れる事は必要不可欠なのはい言うまでもない。そんなことR&Dにたずさわる人間なら誰でも分かっている。

であるのに、今の研究所長はことある毎に、
「室長は、最新最先端の情報に敏感でなければならない。常にアンテナを広げて知識を集めるように」
「今の室長は、あまりにも感度が鈍っている。自ら情報収集のための努力をしていない」
と、技術関連情報の不足や最新技術へのアプローチが少ないと嘆き、室長たちを叱り飛ばしている。

 しかし、室長の第一の役割は新しいテーマを見つけることだ、ということぐらいみんな認識している。にもかかわらず、10人もいる室長の誰一人としてそういう行動がとれていないのは何故だろう。室長を縛っている何かがあるはずなのに、それが分からないのが情けない。