品質がしっかりしていれば、タリフマンにも勝てるはず

岩谷産業vsJ&J

【2006年10月記載】

「痛っ!」
全く予期していなかった。今までと同じようにしたのに、一体どうしてこうなったのだろう。
夕食を終えて、いつものようにガス式のカセットコンロをキッチンの上戸棚に納めようとしたときのことである。カセットコンロの五徳の付いた上蓋が頭上から落ちてきた。五徳が付いているのでその分重くなっている上蓋は、私の顔面めがけて飛び込んできた。どうも左の鼻の下、すなわち左唇の上あたりが痛い。あわてて鏡を覗き込んでみると、縦方向に1㎝くらい切れている。ティッシュで押さえたが、血はなかなか止まらない。思った以上に傷口は深そうだ。

 新婚当初に購入したカセットコンロが壊れてしまったので、新しいカセットコンロに替えたばかりの出来事である。たった今、この新しいカセットコンロを前にして、妻と話しあったばかりでもあり、こんなことになってしまいとても口惜しくて仕方がない。

「この新しいカセットコンロはいくらしたの?」
「3980円。結構いろいろなところでこれと同じものが売ってあるよ」
「まぁ、値段としてはこんなものだろうけど、すこしちゃちだね。ほら、とても軽いし、空気調整用のレバーもない。ガスボンベはマグネットで固定するだけで取付け時の安心感がないね」
「容器カバーを固定するものがないので、カバーがすぐに開いてしまう。それに何よ、これは、上蓋が簡単に取れちゃうじゃない。何の固定もなく、ただ置いてあるだけじゃない」
「そうだなぁ、コストダウンをしていったのだろうけれど、これはひどいね」

そんな会話をした直後で、このカセットコンロを片付けようとして、コンロを高く持ち上げたときに起こった事故であった。上蓋が外れやすいと言ったばかりの出来事であった。

 しかし、こんなことで良いのだろうか。こんなに不安定な構成にして、安全上の問題点を無視してまで、安い商品にしないといけないのだろうか。実際、私は怪我をしてしまった。ことによっては目の辺りに落ちて、もっと悪い事態を招いていたかもしれない。岩谷産業が二流メーカーとまでは言わないが、やはり万一のことを考えると一流メーカーのものでないと安心はできない。
 後々傷跡となって残ってしまいそうな気がしたので、傷口をしっかりと消毒し、絆創膏で塞ぐことにした。しかし、鼻の下に大きな絆創膏があると結構目立つ。少々格好悪くても仕方がないと諦め、最低でも一週間は鼻の下に絆創膏をつける覚悟を決めた。

 傷口は、バンドエイドで押さえた。幅18㎜、長さ76㎜のものを、長さを約50㎜に短くして使った。こうなったら、バンドエイドが大きくて多少目立っても格好が悪いのは一緒と思ったのだが、そう簡単なものでもなかった。バンドエイドの類似品キズリバテープだと、テープの部分もそうだけれど、ガーゼの部分がそれとすぐに分かるほど目立つのである。それに比べればバンドエイドは目立ちにくい。また、貼っていてよく分かったのだけれど、バンドエイドは素晴らしく性能が良い。丸一日貼っていても剥がれにくい。口を動かして多少の伸び縮みがあっても、すこし皮膚表面が汗ばんでも、剥がれ落ちない。結局4日間バンドエイドを貼っていたのだが、少しも肌荒れを起こすことなく、無事傷口を塞ぐことができた。この間、キズリバテープも使ってはみたのだが、性能の違いは火を見るより明らかだった。

 そもそもこういったガーゼ付きの絆創膏すなわちバンドエイドは、ジョンソン・エンド・ジョンソンが考案し、発売を始めたもので、バンドエイドはそれなりの歴史を持っている。いくら共立薬品工業がそれに似せたキズリバテープを出してもそう簡単には追いつけない。単なる先行メーカーのまねをしただけでは、ブランド力、技術力やノウハウに遅れを取っており、コストダウンで対抗するしか手立てはない。自ずと「安かろう、悪かろう」の世界になってしまう。

 やはり一流メーカーものはしっかりしていて安心だ。多少の価格差は我慢してでも、良いものを選ばないと結局は損をしてしまう。