十年前は、東京のど真ん中でもそれなりに楽しめていたのにね...残念

日比谷グリーンサロン

【2013年7月記載】

東京はいつも華やいでいる。東京出張するたびにそう思う。新幹線を降りて、そのままJR山手線に乗っても、丸の内で地下鉄に乗り換えても、そこに居る人たちはみなきちんとした身なりで、洗練された感じがする。ここ最近は、経済産業省や農林水産省へ行く機会が多い。時間のある時や天気の良い日は、東京駅から三菱一号館や帝劇あたりをそぞろ歩いて、日比谷公園まで行く。しかし、霞が関周辺は時間調整をしたり、ゆっくり寛ぐ場所がない。知らないだけなのかもしれないが、喫茶店もそれほど見かけない。いつもなんとなく窮屈な思いをしていた。やはり大都会東京であり、丸の内や銀座は敷居が高い。どこに行ってもお洒落な高級エリアであり、いくら慣れてきて少しばかり知ったとしても、私たち庶民が安心して楽しめる場所ではなさそうだ。

そんなある日、霞が関での会議に向けて、時間待ちの場所を探していた。日比谷公園内に瀟洒なレストランがあるのは知っていた。そこでコーヒーでも飲もうかと思い、公園内に入って、なんとなく見遣ると少しばかり小奇麗なテラスがあるではないか。それほどの高級感は無いが、かといってそこいらの喫茶店とも違う、ゆったり感が漂っていた。思わず足を向けた。

中に入って、ビックリ。学校の食堂みたいな雰囲気で、すべてセルフサービス。しかも値段がとてつもなく安い。しかし空間的にも、環境的にもリッチである。これはいい。こんなところがあったんだ。東京のど真ん中に。
そんな驚きがあった。

200円のアイスティーを注文して、窓際に位置どり、この雰囲気を満喫しようとした。するとその時、この私よりももっとこの環境をうまく使っている人たちがいるのに、またまたびっくりしてしまう。

目の前のオープンテラスで、老年の男性3人が、ジョッキを片手に酒盛りをし出したのである。まったくの普段着で、そんなに飾ることなく、枝豆や唐揚げをつまみながら、ゆっくり飲みだした。ビールはピッチャーで注文してあり、この肴で飲むのだったらひとり千円もあれば十分だった。まさに都会のオアシスを満喫しているではないか。

こんな場所で、こんなことができるのかと、暫くは信じがたいものがあった。私の既成概念では考えられないことが起こっているのだから。

東京駅周辺、正確には銀座があるその周辺は、お金持ちしか楽しめない場所だと思っていた。皇居はあるし、銀座、有楽町、日比谷は高級ブランドのお店が立ち並び、庶民には遠く及ばないところ。出張帰りに飲むとしても、一番リーズナブルな丸ビルでさえ、ひとり5千円は必要だ。しかも窮屈なだけで景観なんてまったくのゼロ。

思った。世の中、お金が無くても(十分なもので無くても)、それなりに楽しくやることはできる。お金持ちで無くても、結構楽しんでいる奴はいるものだと。