今もって円安が続く...今年もリフォームに投資しよう!

家の修理

【2020年11月記載】

家を建てて37年が経った。28歳の時に建てたのだが、その当時は何も考えずに限られた予算の中で、業者のアドバイスに従って、結果的にはモデルハウスに近い仕様で建てた。まだ高度成長時の考え方が残っていて、どのみち家というものは建て替えるものだと思っていたし、家を建てるということにそれほど強い思い(家を建てたいという)も無かった。ある意味、建てなくてはならなくなったから建てたに過ぎなかったので…。住宅・都市整備公団が分譲した平城ニュータウンの土地に、軽い気持ちで応募して当選したのだから。

しかし、あまり考えずに建てたのだが、今まで住んできてそれほど大きな不満はなかったし、とても快適に暮らしてきた。その点では、いつも家にいる妻の意見を聞かないといけないのだが、おそらく彼女も同じだと思う。住んでみて、生活してみて思ったのだけれど、暮らし易いかどうかは、家の構造や設備などの比重も高いけれど、要は暮らす人の考え方や工夫の仕方だと思っている。だから、家というもの、やたらめったら建て替えるものでもないと思うようになった。

もちろん、金銭的な面でそう簡単には家を建てることはできないということもある。しかし、住む工夫、生活の仕方を工夫することの方が大事で、それは楽しいことだと。いわゆるDIYを暮らしの中に取り入れていくことによって、豊かさが増していく。

というのも、およそ30年前にヨーロッパへ出張した時、ドイツでは家を新築するということはほとんどしなくて、もっぱらリフォームが主体だと知った。新築した方がコスト的には安価なのだが、それは法律的に出来にくくなっているという。当時の日本での家づくりの考え方は、新築するということがまず初めにあり、リフォームなんて見た目にも住む点でもそしてコスト的にも良いとは思えなかったし、全くマイナーな存在であった。だから、ドイツではリフォームがメインだと知って、とても驚いたことをよく覚えている。

その後もドイツへはたびたび出張したが、その街並みの美しさにはいつも感心していた。街全体の調和がとれていて、日本のような雑多な感じはしない。みんなが街の雰囲気を大事にし、その中で個人個人が暮らしの中に工夫を取り入れている。外観は古いけれど、中味は最新の設備を取り入れて豊かに暮らしている。安普請でできた街並みではないと。そんな考えもあって、家は大事に使って、できる限り長く使って住んでいくのが良いと考えるようになった。

しかしそれでも、長い間生活していると家の至る所が傷んでくるし、壊れてくる。これは致し方ない。家のメンテナンスは必須である。また、設備機器は日進月歩で進化しているし、今や情報社会となり住まい方も変化している。なので、リフォームというよりはリノベーションする必要も出てくる。私の代で住んで終わり…ならば、少しくらいは我慢もするが、どうも子どもたちも引き続きこの地、この場所に住み続けることになりそうだから、今の家はしっかり維持していかなくてはならない。

家を建てて14年経った頃に外壁と屋根の塗装をし直したが、それからさらに23年が過ぎた。家の外観も汚れた感じになり、外壁や屋根のスレート瓦も色あせたし、屋根の樋には草が生えている。Googleの航空写真でも明らかに老朽化しているのが分かる。どうせ直すのなら今のうちにやっておくべきだろう。まだ私が働いているうちに、少しでも収入があるうちに。子ども、おそらく啓くんが住むことになりそうなこの家を。彼の今の収入では、少し直すだけでも、とても大きな負担になるに違いないから。

浴室や洗面は6、7年前に、キッチンは3、4年前にリフォームしたから、今やらなければならないのは屋根と外壁、そして下水まわりとなった。コロナ禍の中、おそらく経済はしばらく立ち直らないし、貨幣価値も大きく下がっていくだろうから、現金を貯めておくより他の価値あるものに変えていた方がいいだろう。ある意味、投資のつもりでリフォームしようと思い立った。浴室やキッチンもそうだったけれど、今回の屋根と外壁はしっかり手入れしようと考えた。

最終的には下水まわりに加えて玄関扉も新しくしたので、今回のリフォームと今までの浴室やキッチンのリフォームも合わせると、合計で○△□円かかったことになる。家本体があと何年もつかわからないけれど、少なくとも20、30年はもってくれるだろう。その頃には、私はもうこの世にいないだろうけれど、次の世代がきっともっと住み心地の良い住居にしてくれるはずだ。

今回のリフォームで、妻が本当に嬉しそうだったので、出費は大きかったけれどやって良かったと心底思っている。