ブランドイメージはこうも容易く変わるものなのか...
大谷モデル
【2025年4月記載】
腕時計の金属ベルトが壊れた。ベルトをつなぎ合わせているピンが外れたのである。一年前にも外れたことがあるし、今回も一週間前に外れたので修理してもらったばかりで、これで3回目だ。近くの商業施設にある時計店で購入したもので、とてもリーズナブルな価格で、デザインもシンプルなので気に入っている。普段使うのにはこれで十分だ。
腕時計はファッションあるいは装飾品となっていて、ロレックスなど高価なものがよく売れている。しかし、私には分不相応なので、全く興味が無く欲しいとも思っていない。けれど、これだけベルトが壊れては、やはり安物ではだめなのだろうか…。
購入した店に行って、修理をお願いした。店の主人は、壊れたベルトをその場ですぐに修理するという。無料で。そして、この時計のベルトはバネ式で何かの衝撃でピンが抜けたようだと解説しながら作業をし出した。
妻と二人で行ったのだが、待っている間に女性店員が緑茶を出してくれた。私たちもただ待つのもなんなので、ちょっとだけショーケースを覗いて回った。すぐに作業は終了したようだったが、お茶が熱くて、なかなか飲めない。そのままお茶をすすりながら、ショーケースを覗いていると、SEIKOの時計が目に入った。
すると店主が私たちに話し始めた。
「この腕時計は、大谷がドジャース入団時に着用していたもので、彼の収入からするととても安価な(70万円)ものだとして話題になったものです。また、SEIKOの工場は彼の出身地の雫石にもあるので、思い入れがあるみたいです」
「大谷人気は凄く、彼のポスターはこのような店にまでは回って来ない。仕方なく、小さいサイズのレプリカをつくって飾っているんですよ」
「一番よく売れているのは、ロレックスに似たデザインの22万円のものですが、ヌートバーにプレゼントした120万円のものも2つ売れましたよ」
そう言いながら、SEIKOの腕時計をいくつか紹介してくれた。だんだんと熱を帯びてくるのが、それと分かる。私も話を聞きながら、22万円なら私にも買えるし、大谷モデルということで満足感も得られそうだと思った。
店を出てすぐに、妻が言った。
「買ってもいいわよ。古希の記念に…」
彼女から勧めてもらうとより一層その気になってくる。どうせ買うのなら、入団時に着用していたものがいいとは思ったけれど、これは少し高いかも…。
SEIKOの腕時計は学生の頃からよく知っているし、日本を代表する時計メーカーだという認識はあった。しかし、時計と言えばオメガやロレックスの方が、ブランド的にはあこがれる。けれどここに来て、大谷のポスターや記事とともに、ショーケースに並んでいるSEIKOの腕時計は遥かにそれを凌いでいた。
腕時計を買うなら、大谷モデルやな。