ストレスは溜め込み過ぎると癌になる...そんな気がする
人間ドック
【2022年4月記載】
今の会社に再就職してからは、集団での健康診断をやめて人間ドックを受けるようにしている。少し費用はかかるけれど、検診の精度は良くなるのではないかと考え、また自分で受診機関と日時を選べるのと配偶者も一緒にできるので、高齢となった身にはこれが良いと判断した。
しかし、妻はあまり受けたくないようで、いつも説得するのに苦労をしている。バリウムが苦手で胃の検査はしたくないという。私もバリウムで体調を崩すことも多々あり、これはどうにかならないかといつも思っているので、強くは勧められないのだけれど。
最初の頃は京都の円町まで出かけて受診していたのだが、ここ二年は奈良市内で受けている。京都の時は、その日のうちにおおよその結果を教えてくれて、後日詳細で見易い10ページ余りの診断結果を送付してくれるので、とても有り難かった。しかし、奈良に変更してからは少し丁寧さに欠けるところがあり、もちろん当日の結果速報は無いし、後日送られてくる結果も2ページに簡単に記載されているだけで、自分自身でしっかり内容を見て判断しなければならない。報告データとしては一緒なのだけれど(受診料も同じ)、受け手の印象が違うし理解のし易さも違う。どちらが受診者の立場で考えやっているのかは明白だ。
ところで、今回も嫌がる妻を少し強引に引きずり込んで、一緒に人間ドックを受診した。ただ、歳をとっていくせいか受診するたびにとても疲れてしまう。バリウムはなんとかクリアしたのだが、結果は後日に...ということで、その日は終了した。
受診して10日近く経った頃、結果が届いた。一番気にしていた血圧やコレステロールはわずかに悪化していたが、日常生活に注意するレベルにとどまっていたのでとても安心した。一方で妻はどうだったのか。やはり前回と同様で、眼圧が高い。これは医者に掛かっているので想定内であった。ところが、よく見ると胃の内視鏡検査が必要と出ている。これは大変だ。すぐに診てもらわないといけない。
結果はしっかり確認しなくてはいけない。そこで、もう一度私の結果を見直してみると、便潜血が陽性となっており、大腸内視鏡検査を受けるようにとのコメントがあった。20年くらい前に一度受けたことがあり、その時は小さなポリープを切除してもらったのだが、事前に大腸をきれいにする作業が大変だったことが思い起され、少し憂鬱になった。妻も私も内視鏡検査をすることになってしまった。
妻の胃の検査は何事もなく、異常なしで済んだ。しかし、私の方は違った。検査前日から食事に注意し、下剤を飲み、当日は大腸を空っぽにすべくさらに2リットル近く腸管洗浄液を飲んで、検査に臨んだ。
おしりから内視鏡を挿入されて、少し痛みはあったけれど何とか我慢していたのだが、そのうちに周囲が慌ただしくなってきたと思ったら、左太ももに手のひら程度の電極版を貼られた。
(あぁ、これは何かあったんだろうな。気持ちを強く持ってしっかりしないといけない)
大きなポリープがあったらしい。後で写真を見せてもらったのだが、直径2センチほどのぶらんと垂れ下がったもので、腸内断面の半分以上の面積を占めているようで、こんな大きなポリープがあったとは信じ難いほどであった。
ポリープ切除術のあとは2、3日安静にし、10日間程度は食事や運動に注意をしないといけない。術後に車を運転して帰宅したせいなのか、あるいは翌日からデスクワークをしたせいなのか、ここしばらくお腹の痛みが取れない…。除去したポリープを検査してもらっているけれど、悪性のものでないとよいのだが…。身体的にも精神的にもすっきりしない状態が続く。
それから1週間後、術後の経過を診てもらうため、またポリープの検査結果を聞きに医院へ行った。先生曰く、
「早期の癌でした。完全に除去したから心配は要らないけれど、半年後に再検査をし、それから5年間は年に一度の内視鏡検査をすることになります。ほとんど再発はしないと思う。便潜血で早くに分かって良かったですね」
なんだか、随分とすっきりした感じになった。癌になったので本当は気分が落ち込むはずなのだが、その厄介者はすでに除去し、とりあえずきれいさっぱりとなったのだから、余計な心配は要らない。だから気持ちは安定している。なによりも、なんだか今までに溜まっていた悪いモノをバッサリと切り捨ててしまった感があって、ひとつの区切りができたようだ。特に、ここ数年間は事業経営に対するトップの考え方や進め方に大きなストレスを抱えていたし、この6月でそれともおさらばできるので、心は晴れやかになっている。憑き物が落ちた。