アニメって、凄いパワーがあるんだね。日本文化の中心なんだ…

鬼滅の刃 冨岡義勇

【2025年10月記載】

妻と二人で孫のお世話をしに東京へ行った。無事にミッションを果たした後、最終日は明治神宮にお参りをして、都庁を見学した後、浅草からお台場までクルージングを楽しんだ。そしていつものように帰りの新幹線で食べるために、東京駅の大丸デパートでお弁当を買い求めた。

時間的にも余裕があったので、地下1階のお弁当ストリートをひと通り見て回った。私はどんなお弁当でも良かったので、妻の好きなものに合わせるか、そうでなければリーズナブルなものにしようと思っていた。

午後4時と、まだ早い時間帯であったので割引品はほとんどなかったが、ひとつだけ3割引きの弁当が目に付いた。妻もその値引き品の隣のローストビーフと牛肉の弁当に目をやっていた。その時、売り子の男性が「半額にするよ」と声をかけてきた。
「えっ、50%引き?」「でも、ご飯が見当たらないけど…」
見れば、9つのマスに区分けしてあり、そのうちの3つがご飯系だという。それにウナギ、牛肉、エビなどとても豪華でカラフルだ。
「じゃあ、これと隣りのローストビーフの弁当と、2つ下さい」
「これは今日の6時までに食べて下さい。それと弁当を包む掛け紙はどうされますか。この掛け紙は弁当を包まずにビニール袋に入れて持ち帰られるお客さんが多いのですが、そうさせてもらいますね」
「えっ、そんなことしなくていいですよ。その紙は要りません。そちらで処分してください」

そう言って、拒否したのだけれど、その店員さんはきれいなビニール袋にその掛け紙と銀色のタレ袋のようなものを入れて、弁当と一緒に渡してくれた。
半額だと思って買ったのだけれど、意外と高かった。

「半額だというのに高かったなぁ…」
「あなた、金額を見ずに’割引’というだけで買ったんじゃあないの」

図星であった。値段なんて見ていなかったし、当然のことながらこの弁当の包装紙なんて見なかった。どうでも良かった。単に、50%オフと美味しそうなメニューしか眼中になかった。見れば、掛け紙には今流行りの鬼滅の刃のイラストが描いてある…。

期待していた以上に美味しい弁当であった。お陰で、帰りの新幹線ではとても豊かな時間を過ごすことができた。しかし何故、あんなにも掛け紙を大切にビニール袋に入れてくれたのだろうか? 帰宅して、少し落ち着くとそんな思いが湧いてきた。いくら今流行りの鬼滅の刃の掛け紙だからと言って、そんなにも丁寧に扱う必要があるのだろうか。これはひょっとしてマニアが注目している商品なのかもしれない。

早速ネットで調べてみると、掛け紙がメルカリで幾つも取引されているではないか。それに、タレ袋だと思っていたものは、キャラクターが描かれたオリジナル缶バッジであった。缶バッジは掛け紙以上の価値があるようで、すでに2,000円前後で取引されている。

私が買ったのは美味しい弁当ではなくて、今一番人気のあるアニメキャラクターだったのだ。今まで全く視野に入ってこなかったアニメが、いきなりズドンと私の中に入り込んでしまった。冨岡義勇か…結構かっこいいなぁ。