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見える化

【2013年11月記載】

生来、私は歯が弱い。正確には、幼い頃に十分な歯の手入れをしていなかった。そのため、虫歯だらけで、しかも放っておいたものだから、抜け落ちているものも少なくない。両あごの奥歯はともにブリッジがかかっているので、歯磨きをするのも大変である。そんな負い目もあって、歯の健康衛生に対する意識は高い方だと思っているし、ここ20年くらいは定期的に歯のメンテナンスをするように心がけている。

実際には、半年毎に歯医者に通い、歯石を取ってもらうと同時に歯のチェックもしてもらっている。ただし、なかなか良い歯医者には巡り会えなかった。が、今通っている“U歯科”はなかなか良いお医者さんだと思っている。診察も丁寧だし、説明も分かりやすい。そして会計も明瞭で、リーズナブルである。ということでここ3年くらい定期的に通って、歯の検診をしてもらっている。

先日、半年前から予約していた定期検診、メインは歯石取りだけれど、それに行った。いつものように診察台の上に乗ったのだが、少しいつもと違うように感じた。何故そう感じたのかと見渡すと、丁度視界の左側中央に、20インチ程度のディスプレイがあるではないか。残念ながら他社の銘板が打ってあったし、なにも映っていなかったので、これは幼児が駄々をこねた時に用いるアニメなどを映し出すものか、それに類するおもちゃみたいなものだろうと、あまり気にとめなかった。

治療は、と言っても歯石取りなのだが、普段どおりにスムースに進んだ。特に大きな指摘もなく、特別の治療も要しなかった。最後に、私を担当してくれた歯科衛生士の女性が、先のディスプレイに写真を映し出した。私の口腔内をカメラで撮ったもので、下あご前歯の内側がはっきりと分かった。左側が治療前で、右側が治療後のもので、素人目にもその違いははっきりと分かった。

「左側が治療前の歯と歯茎で、その境目に歯石が溜まっているのが分かります。普段の手入れがきちんとなされているようですね。この程度は溜まります。右側は治療した後のものですが、少し赤い部分があります。歯周病に注意してください」

「また、歯石の溜まり方で分かるように、歯に沿って縦方向に、歯ブラシで磨くようにしてください。歯間ブラシを使うのも良いと思います」

なるほど、とても分かりやすく、何に気をつけたら良いのか理解しやすい。見えることがこれほどまでに有効だとは思わなかった。

最後に、院長が診察をしてくれた。以前撮影したレントゲンを見せてくれながら、注意点を教えてくれる。

「両奥歯にブリッジがしてあるので、モノを噛む時はあまり力を入れないように気をつけてください。ブリッジをしてある両サイドの歯に大きな負担がかかるので、歯を傷めてしまうことになります」

歯のレントゲン写真にはそれと分かる歯のブリッジ構成が映し出され、ブリッジをかけられている歯への負担が見て取れるようだった。心底有難く思った。

「ディスプレイは、本当に分かりやすくて、良く理解できました。有難うございました」

また半年後の5月17日に予約をして病院をあとにした。